公開 :2000/05/09
「ファンタジーを一人称で書く」
明らかにフィクションなのに、一人称で物語を進行させ「もしかしたら…」と思わせることによって、読者にストーリーの存在感と更なる 幻想感を持たせる事を狙って、この文体を使ってみました。「ウクレレラブ」というムック本に載っていた、「ボクと小父さん」というショートストーリーが、文体の元ネタです。何年もの間「いつかパクってやる。」と考えていたアイディアが、インターネットという表現媒体を得たことによって、やっと結実したわけです。
構想段階では、期間が一週間の話でしたが、タイトルを「花の魔法使い」に決めた時点で、一年間の物語に変更。ところが秋の花が菊しか思いつかず、季節感が薄くなったの心残りです。後半ウクレレが唐突に出てきますが、「ウクレレと桜」がメインテーマのショートストーリーなので、作者的には良い風景だなぁ、と思っています。一番悩んだのがヒロインの名前でした。桜に対して「椿」を使うというのは決めていたのですが、「はるか」にたどり着くまで3〜4日悩みました。読み方がややこじつけかとは思いますが、字面も良く、大変気に入ってます。そして彼女の名前が決まった途端話が回り始め、半日で一気に書き上げたのも良く憶えています。
さて、2〜3さらにネタバラシを。「フラワーロード」はボク出身校が実際こういう感じだったので、そのまま使いました。こんなロマンティックな名前はついてませんでしたが。椿花のシッポは田中芳樹先生作「銀河英雄伝説」に出てくるキャゼルヌ少将とお揃いです。お花見の際の椿花の衣装は、ちょっとエッチすぎるかなぁ、とは思ってましたが、後半の展開の伏線と、色彩感覚の増幅を狙って、敢えて挑戦してみました。元々は白のロングワンピに麦藁帽子という設定でした。
解説を書くにあたり読み返してみたのですが 、やっぱり椿花ってカワイイです。当時彼女に恋してた自分を思い出してしまいました。今頃彼女は、さらに素敵な女性になってることでしょう。
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